今年は、もうダメかもしれない。。。。
そんな気持ちで始まった今回の遠征。
いろんなGTアングラーの方のブログを見ていると、シーズン終了とか、もうイカ釣りに切り替えましたとか、ヒラスズキ狙おうとか、そういう記事ばかり。
でも、確かに去年の12月も、今年の1月もGTを掛けるところまではいけているし、今年だってまだまだ!と淡い期待を込めて、バニラエアのチケットを取り、与路島行きを決めた。
僕はGTが釣りたいのだ。
さて、いつも通り奄美空港からはバスに乗って名瀬経由で古仁屋へ。
古仁屋からは定期便で加計呂麻島へ。
そして島の裏側の西阿室から与路へ。
こうして、朝に渋谷の家を出て、その日のうちに与路島にたどり着いた。少しお金はかかるが、4日間の遠征のうち丸2日を与路での釣りに当てるために開拓したルートがこれだ。
【与路釣行第一日目】

大漁時刻表を見ても、この日の夕マヅメが、今回の遠征で最大のチャンスと見ていた。
船長の話では、この時期に回ってくるはずのイソンボも、まだ姿を見せていないらしい。エルニーニョの影響か、まだまだ水温も高く、カマジ(ロウニンアジ)にはいいじゃないか、と聞いていた。
この日乗ったのは、ハンミャ平瀬。
上げでは与路立神・徳之島方面から北に向けて潮が流れ、下げでは請島水道方面から与路立神・徳之島方面に潮が流れる。

雰囲気はいい。
朝マズメは反応無し。
潮止まりの頃にジグを沈めると何回かアタリはあるが、弾くようなバイトや(ダツかな)、フックオフが続く。
アタリがあると熱中してしまい、ルアーサイズを下げたり、より沈めたりするが、水深も15メートルと浅く、ジグのロストも激しい。いやいや、小魚を釣りにきたのではないのだ。
日が傾きはじめ、下げ止まりから上げ潮が流れ始める。
これを待っていたのだ。
レイジングブル95SDの8号タックル・オシアペンシル別注平政220Fに持ち替え、北東からの追い風に乗せて潮上にフルキャスト。
潮はゆるやかに速さを増してゆく。沖の遠くには迎えの船が見え始めた。18時の回収の時間が迫っている。
荷物はまとめてあるので、回収直前まで、このチャンスタイムを投げ続ける。
すると、背ビレを出してシャーッと左から右へルアーにバイトしてくる魚の姿。
出た!!
一瞬、ロッドに重みが乗るが、乗らなかった。
その後、2、3投するも、反応は無し。船が近づき回収の時間となった。
もっとゆっくりだったら乗ったのか?トリプルフックだったら乗ったのか??止めたほうが乗ったのか?トゥイッチを入れたほうが??
ルアーをチェックするとフロントのシングルフックの針先が甘くなっている。岩にぶつけたのだろうか。こういうツメの甘さが千載一遇のチャンスを逃すのだ。
フロントのシングルフックをトリプルフックに替えて、2日目に臨んだ。
【与路釣行第二日目】

この日は、南から北上してくる寒冷前線の影響で、2.5メートルの波、南東風の予報。
雨も降っている。
沖瀬は、どこも乗るには危険と判断して、請島の地磯に渡してもらった。
波が穏やかなワンドと聞いていたので、ちょっとがっかりしていたのだが、乗ってみると潮はよく通るし、薄いサラシも出来ていて雰囲気はいい。

昨日のヒットルアー、オシアペンシル別注平政220Fから始める。
と、20投ぐらいしたところで、20メートルぐらい先でルアーの後ろに、モワッと出た。
乗らない。
もう1投。
出ない。
喰わせを意識して、シンキングペンシルに替えてみる。
出ない。
気持ちは高鳴る。
見切られないように、同じルアーを見せすぎないように、一投一投大事に、他のダイビングペンシルにも替えてみる。
いくつかローテションするが、出ない。
だめか。。
もう一度オシアペンシル別注平政に戻して、沖に潮目がうっすら出始めたところにフルキャスト。
昨日の夕方のバイトのタイミングと同じ、上げ潮が利き始めるタイミングだな。
なんて思った矢先、ボッシュ!!
真っ白な水柱が沖の潮目で立ち上がった。
直後、パンッ!という尾っぽが水面を叩く乾いた音。
そしてロッドに乗った重みが、沖に向けて走り出した。
ギャン、ギャン、ギャギャギャーーー!
ドラグが鳴る。
このシーンが、書いている今も、何度もスローモーションでよみがえる。
ここには沈み根も無いと、船長から聞いている。足下もドン深だ。
落ち着いて、フッキングを入れ、ラインを緩めないようにロッドをロッドベルトに固定して持ち替え、走りが止まったところでもう一回スクワットするみたいにしてフッキングを入れた。
一段高いところに移動して、ポンピング開始。
バットパワーでジワーっと寄せる。魚との綱引きはずっとまっすぐ。横に走ったりもしない。
一段低いところには、取り込みを予想して、始める前にギャフを置いておいた。ナイス!1時間前の俺(笑)!
1メートルのポールにカギを付けただけのシンプルなギャフ。結局1人でファイトとギャフ掛けをどちらも行なう場合、これしか使えないのだという結論。磯ならたいてい水面近くに降りられる場所はあるから1メートルで充分。
一段低いところに降り、最後のリフトアップ。
ところが、ここで魚が瀬際に張り付いて動かなくなった。やってしまったか。
少しラインを緩めて待つと、ゆっくり動き出した。よかった。
一気にリフトアップすると銀色のひらべったい影が旋回しながら上がってくる。
GTだ!!
カンヌキのいいところにフロントのトリプルフックが2本、内側から刺さっているのを確認して、ギャフを取り、掛けて一気にズリ上げた。
どーーん!

イヤャッホォォー!!絶海でひとり雄叫びを上げた。
全身のふるえが止まらない。
すごい!すごすぎる!!


あとで民宿で計測したところ、17キロジャストの1メータージャスト。
何年、夢見てきたのだろうか。
はじめてGTを掛けたのが、20歳のころ徳之島を貧乏旅行していた時にシーバスタックルで2キロぐらいのロウニンアジの強烈な引きを体験した。もっと前からGTのことは知っていてミニチュアなメッキゲームに熱中した。
仕事と旅を両立できるようになって島に通い続けるようになったのがここ1年半。今年8月の屋久島を除いて全戦全敗だった。
コイツに出会うために、毎週プールに通い筋力を鍛え、サーフィンで体幹を鍛え、何度も切られてタックルとラインシステムを見直し、何度も何度もイメージトレーニングをしてきた。
と、ここで一番に妻に報告しようとLINEを開くと、今朝から胃腸炎で大変だという。2歳の娘とおなかの子がいては、病院に行くのもままならない。
そりゃ大変!と、急いでタックルをたたみ、船長に連絡して迎えに来てもらい、スマホでエアチケットを一日早め、船とバスの乗り継ぎを確かめた。
請島の絶海でGTをランディングしたのが7時半頃で、21時には渋谷の喧噪に帰ってきた。
完。

<タックルデータ>
ロッド:MC works レイジングブル95SD
リール:Daiwa キャタリナ 6500H+RCSスプール6500
ライン:PE8号+YGKよつあみDMVリーダー200lb 4ヒロ
ギャフ:ナカジマ パワータモの柄 100+シビカギ