人が行かないところで釣るから、面白いんですよね。

それで行ってきました。トカラ列島の小宝島遠征。

事前情報もほとんど無し。釣果も大事だけど、やっぱり誰も行かないところを開拓するのが楽しいんだな。

とか言っておきながら、結果から言うと、満月でトビウオがほとんど入らず、ショアGTは不発。

でも、行ってはじめて分かる、いろいろな学びがあったので、書き残しておきたいと思う。





小宝島遠征【第一日目】

成田からバニラエアで奄美大島へ。奄美空港からはエアポートバスで名瀬の佐大熊へ。ここからトカラ行きのフェリーとしまに乗る。

フェリーとしま


 奄美大島・名瀬港・佐大熊岸壁出航は午前3時だが、20時ぐらいに乗り込んだら船内で休んでいていいとのこと。

21時には船の戸締まりをして2時まで開かないそうだが、泊まれるのはラッキーである。パソコンを開いて溜まった仕事を片付けつつ、船は奄美を出発した。


小宝島遠征【第二日目】

諏訪之瀬島では、トビウオが入っているという情報を得ているが、きっと人が多いだろうから、なんとなく気乗りがしない。

去年も1泊だけしたときにトビウオが入っていたので、今回は、小宝島で船を降りることにした。

小宝島は、奄美から約4時間。朝の7時前には着いてしまう。バニラエアと乗り継げば、鹿児島から行くよりも断然近い。

湯泊荘に荷物を置いて、早速ロックショアに繰り出す。海が穏やかなので、少しでもウネリが当たる島の南西側を攻めてみた。

お昼の干潮を挟んで、14時過ぎぐらいまでミノーやダイビングペンシルを投げ続けたが、下げ潮のときにリーフ際で3回ぐらいバイトがあったのみ。茶色の魚体が見えたのでイシチビキ(こっちでの呼び名はクロマチ)だったと思う。

潮が上げ始めてからはバイトも無くなってしまった。

ちなみに、帰り際に漁師でもある湯泊荘の息子さんから聞いた話では、小宝島周辺では下げ潮のときに魚の活性が高く、上げ潮ではまるでダメだという。

あとは夜に備えて、港内を見回りつつ、宿で休むことにした。


19時、装備を整えて出撃。

ほぼまんまるの月が、9時には南中した。

当然、こんな煌々とした月の下ではトビウオの気配がない。

一度だけトビウオの匂いが風に乗って鼻を差したけれど、すぐに消えてしまった。

それでも投げ続ける。

堤防先端の45度内側向き。フルキャストからカウントダウン、弱めのジャークからまたカウントダウンを繰り返していたとき、竿先にゴン!なにか生命反応を感じた。

一気に、体中の血が沸き立つ。

次に来るファーストランに備えて腰を落とす。

目の前は奄美方面に向けて潮が走っている。こんな夜中に海に落ちたら助かるすべはないだろうと思うと恐怖と、巨大GTへの期待が入り交じる。アドレナリンの為か舌先の味が変わってゆくのを感じる。

でも、それっきり。

次の反応は無かった。

真夜中の潮止まりを挟んで、堤防の上でしばらく眠り、3時ごろからまた竿を振り始めた。

なにもおこらない。


空が白みはじめ、港内を見渡すがトビウオの気配がまったくない。

しかたがないで、お土産でも釣っておこうと思って先端外側でジグミノーを投げてみる。ルアーサイズを11センチまで落とせば、底付近でアタリは連発する。上げてみるとホウセキキントキ。あとは表層まで巻き上げたところで喰ってきたのはオオグチイシチビキだった。

満潮の潮止まりで第二日目は終了した。


キントキは、湯泊荘のお母さんにお願いして、朝ご飯になりました。


小宝島遠征【第三日目】

昼前に目覚め、湯泊温泉に浸かって、昼の間はゆっくり過ごして夜に備える。

とはいえ、ロックショアを目の前にして落ち着かないので、島の南東端の大ブチ、小ブチ、そして赤立神に少しだけ降りてみた。

海は凪いでいて、先端まで行けるが、ダツの1バイトがあったのみ。

あっという間に潮が満ちてきたので引き上げることにした。



ロックショアコーヒー最高!

大ブチにてこれも漁師でもある湯泊荘の息子さんから聞いた話だが、湯泊温泉前から大ブチ、小ブチまでは、パッと見では足場のいいリーフが続いているが、一気に30~40メートルに落ち込む急深になっているらしく、魚の通り道になっているという。

そしてやはり下げ潮であれば、海が凪いでいてもデカい回遊魚のチャンスがあるという。

ここはトビウオの季節以外でも、面白そうである。


さて、この日の夜は23時に出撃。

干潮潮止まりから朝までを狙う。

午前1時ごろ。

雲が厚くなり月が隠れると、辺りは闇に包まれはじめた。海面がザワついているような気がする。

夜光虫がスーっと動くのが見え、梅雨ブギィを投げ込むとビビビビっと暴れる感触。どうやら港内にトビウオが入ってきたらしい。

だが、大型魚に追われている様子はない。

しばらくすると月がまた現れ、トビウオの気配もなくなってしまった。

やっぱり今日もダメか。

半分あきらめつつも、さっきのトビウオの群れは、もしかして港内の奥にはいったのではないか、と考えて再奥のフェリー着き場のあたりまで何気なく向かってみることにした。

堤防先端に行くには1メートルぐらいある段差をよじ登って、けっこう大変である。もちろん戻るのも飛び降りなければならないから、こちらも大変。

釣り人の心情としては、この誰もいない夜の堤防でただ独りだから、先端が一番だと思っている。事実昨晩は壁を越えるのが億劫ということもあって先端に居座っていた。

ところが、再奥のフェリー着き場のところまで来ると、トビウオがしぶきを上げて逃げ惑っているのが見える。それも一番足場のいいフェリー着き場の足下で、である。

すぐに梅雨ブギィを投げ込み、2投目。

カーブフォールをして軽いジャーク、ユラユラ落とすを繰り返し、反応がないから回収してきた足下ピックアップ寸前、ガバッ!!一瞬重みが乗ったがフッキングせず。

そのままトビウオの群れも散り、その後は反応が無くなってしまい、終了となった。

小宝島では、ひと昔前はトビウオが港内に、ものすごい数で入ってきていたが、近年、堤防を延長し、西側の新堤防が出来て以来、潮の流れが変わり港内にはいるトビウオが激減してしまったという。

延長した堤防の先端が激流になっていて港内に辿り着けないという話もあるし、新堤防は更に延ばす予定があるそうで、もしかしたら新堤防延長によって当たった潮の流れがトビウオが内側に呼び寄せるかもしれないという期待もあるそうである。


小宝島の港ともあれ、次は月が暗い、新月前後に来たいものである。


小宝島遠征【第四日目】

朝のフェリーとしまに乗って、奄美に着き、タクシーを飛ばして、16時45分の成田行きのバニラエアに飛び乗った。

フェリーの時刻表では、奄美に14時20分着とあるが、ウネリの影響や、各島でも荷物の積み降ろしの時間で、まず予定どおりに着くことはない。

じじつ今回は15時半に奄美に着いたが、これは早い方だそうだが、空港に着いたのが16時15分でギリギリだった。

フェリーとしま時刻表
http://www.tokara.jp/access/index.html

奄美空港の出発便時刻表http://www.synapse.ne.jp/~aatb/timetable/

なので、時刻表どおりの到着を予定して航空券を用意すると、まずは乗り継げないそうなので、要注意である。

<使用タックル>

ロッド:ZENAQ ROUF Expedition EP83-6 Trevally

リール:Daiwa キャタリナ 6500H

ライン:PE8号+YGKよつあみDMVナイロンショックリーダー200lb

ルアー:梅雨ブギィほか




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